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壁尻男(ショート物語) [小説]

壁尻男(ショート物語)


 気がついたら、壁に体が固定されていた。
壁の穴から顔だけが出ている、ということは壁の向こうは尻だ。
変なAVみたいな状況だ。ていうか、俺は男だ、ふざけんな。

 「助けてくれ」俺は叫んだ、誰もいない空間に俺は叫んだ。
俺の声が聞こえたのか、親子連れが現れた。
良かった、助かった。
 俺は叫んだ「助けて!」
子供が俺に向かって、トマトを投げた。
腐ったトマトが俺の顔に当たった、最悪だ。
子供が何か叫んでいるが内容までは聴こえない。
トマトを何個かぶつけて、親子連れは居なくなった。

 誰もいなくなった、孤独になった。
いったい何なんだ、これはいったい、どういうことだ。
ていうか、俺って何で、こうなっているんだ。
記憶が無い、俺って誰だ。

 突然、プロレスラーのような男が二人現れた。
鬼のような顔が怖い、何が起きるんだ。
いきなり、バットでケツを殴られた。
「1・2・3・・・・・」掛け声とともにケツにバットが当たる。
ひとりが掛け声、ひとりがケツバット。

 痛いなんてもんじゃない。
「うぎゃー、痛い、助けてくれ・・・・・・」
10発目で俺は気を失った。

男AB「今日はここまで、続きは明日だ」
男A「これじゃ、死刑の方が楽かもな・・・・・・」
男B「苦しんで死んだ子供たちのことを思えば、もっとひどい刑にすべきだ」
男たちは、引き揚げて行った。

 惑星、ジャポネーゼ
この星では50年前に死刑制度が廃止になった。
その代り「のこぎり引きの刑」が復活した。
(「のこぎり引き」は「ケツバット」に変更になった)

 この男はテロリスト、大勢の子供を殺した。しかし、毎日のケツバットをくらい、記憶が欠如してしまった。
目覚めるたびにケツバットを食らい続ける運命だ。

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